どこまでも散歩道〜志治美世子ウェブサイト



歌仙「地図になく」の巻

[両吟]

蓮開く音や明け方の夢うつつ 志治美世子
  水湧く気配聴く四十雀 小松 知二
  大窓の外へ飛び出す心地して 美世子
  合掌つくりの屋根へ風吹け 知二
  鉄塔に月引っ掛ける丘の上 美世子
  芒の里に響く指笛 知二
鹿狩の長の火縄の黒光る 美世子
  異形仏へと祈り捧げる 知二
  恋もまた成劫住劫壊劫空劫 美世子
  回転木馬手に手をとって 知二
  抽選で当てたるスパの入場券 美世子
  立ち飲み酒でほろ酔いの軒 知二
  カラオケはビートルズしか歌わない 美世子
  月照る街に蝉生るる夜 知二
  黙々と佇む孤独な信号機 美世子
  老残の身を修羅の場におく 知二
  花吹雪散らしつ龍よ天に舞え 美世子
  佐保姫います伝説の湖 知二
ナオ 春津軽頂白き岩木山 知二
  定期路線は廃止決定 美世子
  昼下がりラブストーリー彼と見る 知二
  手切れ文句の古臭いこと 美世子
  アンニュイの漂う部屋でジャズを聞く 知二
  調律足らぬままのピアノよ 美世子
  懺悔する冬の教会ほの暗く 知二
  墓標を駆け抜けてゆく凩 美世子
  在りし日の父の姿を偲びつつ 知二
  詩集にはさむ栞黄ばんで 美世子
  月を背に彷徨う道は地図になく 知二
  一分の一版画やや寒 美世子
ナウ 秋袷仕付け抜きたる茶会なり 知二
  一輪挿しの黒薩摩出す 美世子
  海鼠壁沿いの運河に舟交ひて 知二
  水も温めば弾む笑ひ女 美世子
  天守より眼下一群花の森 知二
  松緑さえそよと動かず 美世子

平成十八年七月十一日 九段坂上「九段下クラブ」

この年の「平成連句競泳会」で、入選をいただいた連句仲間の知ちゃんとの両吟です。毎年一回、知ちゃんとは両吟を巻くことにしていて、それは「平成連句競泳会」に出すためのものです。この巻で、確か知ちゃんとの両吟は三回目だったと思います。

賞をとるための募吟応募ではなく、むしろ自分たちのその時々の実力の足跡として、年に一度は大先輩たちの力を借りず、自分たちだけの巻を巻いてみようと始めたことでした。

実は連句では、私のほうが少し先輩ですが、人生では知ちゃんのほうが大先輩です。

でも、そこは「社会的地位も年齢も関係ない」。一緒に巻けば、ただその座(連句を巻く場)の仲間でしかありません。

飲み友達としても、ボーイフレンドとしても、社会人としての先輩としても、そして何より素敵な親しい連句仲間として、大の仲良しの知ちゃんなのです。


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